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「鬼滅の刃」が能 狂言に!野村萬斎が「鬼舞辻無惨」役で出演

能や狂言は、何百年もの間絶えることなく引き継がれてきた日本固有の文化です。

現代人の多くにとっては、やや敷居が高く感じられるのも事実ですが、特に「狂言」はもともと「中世庶民の日常・説話を題材にし、おおらかな笑いやおかしみを表現したセリフ劇」で、難しいことはあまり考えず、演じ手の言葉や仕草で観客を笑わせることがメインでした。

「だからあまり難しく考えず、舞台上の役者が見せる仕草や表情を楽しめば良いんですよ」

そのようなニュアンスのことをメディアで語っておられたのが、能楽師・俳優の野村萬斎さんです。

野村萬斎さんといえば、本業である能楽師としての活躍はもとより、数々のテレビドラマや映画に俳優として出演され、そのいずれでも独特の味を発揮。

記憶に新しいところでは、昨年放送された米倉涼子さん主演の「ドクターX」第七シリーズに、主要キャストの蜂須賀隆太郎役で登場し、やはり強烈な印象を残されました。

古典劇から現代劇まで、縦横無尽な活躍ぶりの野村萬斎さんが、次なるターゲットとして選んだのが、なんと2020年に大ヒットした漫画「鬼滅の刃」を能 狂言に翻案して舞台化する、という試みです。

吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さん原作の「鬼滅の刃」は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎が、鬼に変異した妹・禰豆子を人間に戻すために旅立つ……という内容の漫画で、2016から20年まで「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、一昨年には劇場アニメ化された作品が驚異的なヒットとなりました。

そして今回発表された「能 狂言」版の「鬼滅の刃」では、主人公・竈門炭治郎とその妹の禰豆子役を大槻祐一さんが、主人公の父・竈門炭十郎役と「鬼」の鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)役、そして鎹鴉(かすがいからす)の天王寺松右衛門役を萬斎さんが演じることがわかっています。

舞台演出は萬斎さんが手がけ、脚本は木ノ下裕一さんが担当。

監修は人間国宝の大槻文藏さんが手がけるということで、能 狂言の衣装をまとった炭治郎が描かれたポスタービジュアルも公開になっています。

そのほか、萬斎さんの長男・野村裕基さんが我妻善逸(あがつま・ぜんいつ)役で、野村太一郎さん(狂言方和泉流能楽師・八世・野村万蔵の長男)が嘴平伊之助(はしびら・いのすけ)役で出演予定など、原作で特に人気のあるキャラクターに若手能楽師が起用されていることにも注目です。

「人も鬼、鬼も人 不滅の想(おも)いを紡ぎ、舞う」を謳い文句とした本公演、上演は7月26~31日に観世能楽堂(東京都中央区)で、12月9~11日に大槻能楽堂(大阪市中央区)で行われます。