先日亡くなったエリザベス女王の棺が、現地時間9月14日にウェストミンスター宮殿内のウェストミンスターホールに運ばれました。
ホールに安置された棺は、古式ゆかしいコスチュームを身に纏った複数の「番人たち」によって24時間ガードされています。
そして現在もなおホールには、女王と最後のお別れをしたいと願う多くの人たちが続々と詰めかけ、その行列の最後尾がどこにあるのかわからないほどの数になっています。
ここ数日CS放送でBBCのニュース番組を見ていますが、ホールの外でひたすら中に入るまで黙々と並んで進む人々の様子を見るにつけ、改めてエリザベス女王がどれくらい愛され、敬われていたかを感じました。
ほとんどの人たちが10数時間もかけて並ぶのですから、おそらくホールにたどり着いた時にはヘトヘトになっているはずです。
が、目の前に女王の棺を見ると、どの人も居住まいを正し、ある人は深く首を垂れ、ある人はただ涙を浮かべ、またある人は投げキッスを送り、元軍人と見られる勲章をつけた男性は棺にむかって敬礼を贈りました。
みなさんそれぞれのやり方で静かに女王とのお別れをしていた。
ホールの中はとても静かで、数十分おきに行われる番人の交代の時を除いては、ほとんど物音も聞こえません。
この状態が多分今現在も続いていると思います。
そんな中、この果てしなく続く行列の中に元プロサッカー選手のデヴィッド・ベッカム氏が並び、約13時間かけて女王への弔問を果たしたことが報じられました。
弔意を表す黒のスーツ姿にハンチング帽を被ったベッカム氏をBBCのリポーターが見かけて、インタビューをしたようです。
この時のベッカム氏の答えが素敵でした。
「僕たちはみんなでこれを経験している。正直に言うと誰もが思い描いていたことだ。みんな、ここに一緒にいたいんだ」。
また「僕たちはみんな女王の素晴らしい人生を祝福する何かを経験したいと思っている。だからこうやって並ぶことには、みんなで分かち合うという意味があると思う。ここに来てプリングルスを食べ、レモンシャーベットを食べ、サンドイッチを食べ、コーヒーを飲み、ドーナツを食べるっていう事実にね」とも。
実際BBCを見ていると、たまたま行列で近くになった人と意気投合して友達になった、というような話がたくさん紹介されており、イギリスの人たちは女王を失った悲しみをシェアすると同時に、強い連帯感を感じているように思いました。
亡くなってもなお、国の人々を分断から和合へと導いているかのようなエリザベス女王の影響力の大きさに驚きます。
なお、ベッカム氏は混雑を避けようと現地時間9月16日未明に行列に加わったそうですが、「午前2時に来れば少し静かかと思っていた。間違っていたよ。みんなも同じことを考えていた」。と言っていたそうです。
元、とはいえサッカー選手として世界的に有名なベッカム氏が、一般の人たちと同様に行列に加わり、静かに女王の棺との対面を待ったということも、個人的には清々しい印象を感じました。