今朝いつものようにぼーっとテレビを眺めたいたら、いきなり昔よく聞いていた曲が流れてきてぱちっと目が覚めました。
その曲「ディス・タウン(This town ain’t big enough for the both of us)」は、1974年に発売され、日本でも当時先鋭的と言われた音楽評論家や一部のマニアックな洋楽ファンにうけた作品です。
オペラか?と思うほど幅広い音域で歌いまくるボーカルと、その後ろで縦横無尽に響き渡るキーボード、そして意味があるようでもしかしたら全然意味がないかもしれない?と思わせる難解な歌詞。
しかし1974年という時代を考えると、明らかにこの曲が広く理解されるには、まだ時代が早すぎました。
そういえば、私もこの曲を作ったスパークス(Sparks)と彼らの作品を聴き始めたのは、かなり後になってから。
多分YMOなどいわゆる「テクノサウンド」が一般にも認識されるようになってきたのが、1980年ごろになってからだったと記憶しています。
つまりスパークスは、クラフトワークやトーキングヘッズ、YMOなどのずっと先を行っていた、先駆者的存在だったんですね。
綺麗なルックスと陽気なアクションで華やかさを振りまくラッセルと、むっつりで細面、ぴっちり分けた髪型と口髭がトレードマークのロン、この二人が「スパークス」というバンドの中核で、見た目の対比のユニークさもさることながら、彼らの作り出す作品の奇想天外で多彩でどことなく陰があって、ヨーロッパ的な香りがする部分が、当時はとても珍しかったと思います。
しかも、彼らはれっきとしたアメリカ人(それもカリフォルニア出身)!
いまだに彼らの代表作と言われ、私も大好きな前述の曲「ディス・タウン」だけを聞いてみても、「これ絶対にヨーロッパの音だろう」と思ってしまうんですけどね。
実は彼らはあれからもずっと現役でバンド活動を続けてきており、数多くの大物ミュージシャン達からもリスペクトされる存在だったのです。
そんな彼ら、メイル兄弟を追った音楽ドキュメンタリー映画「スパークス・ブラザーズ」が4月8日から日本でも公開となりました。
予告動画を見たところ、いや出るわ出るわ、本当にスパークス大好き!を公言している大物ミュージシャンたちが。
印象に残った人だけでも、ベック、トッド・ラングレン、フリー(レッチリのベーシスト)やビョーク、果てはあのポール・マッカートニーまでと実に幅広くてびっくりしました。
こんなにも多くのミュージシャン仲間からリスペクトされているのに、この約50年間(!)スパークスの話題はほとんど聞いたことがなかった。
そのあたりの謎を含め、スパークスとその音楽の魅力と素顔を紐解いていく本作品は、エドガー・ライト氏が監督をして現在公開中となっています。
私も先ほどチケットを申し込んだところ。
洋楽ファンの方なら、一見価値はある!と個人的に思っています。