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飲食店での感染予防に一石を投じる「黙食」

福岡市のカレー屋さんが掲げたあるPOPが今話題になっています。

福岡市南区のカレー店「マサラキッチン」の入口に貼られた青い張り紙に見えるのは、「黙食(もくしょく)にご協力ください」の文言。

「黙食」は文字通り「黙って食事する」を意味するワードですが、POPではこの後に「お食事中の会話が飛沫感染リスクになります」というフレーズが続いています。

新型コロナウイルスが日本で確認されてから約1年が経ち、どういう行動が感染を広げるリスクが高いかについてかなりわかってきました。

中でも特に指摘されているのが、「会食中にマスクなしで会話すること」です。

そういった行動に昼夜の関係はありませんが、どうしても夜間の方がアルコールを摂る機会が増えるため、無意識に声が大きくなったり、マスクすることを忘れてしまったりするリスクは確かに夜の方が多いでしょう。

だからこそ感染者が多い地域では、飲食店に営業時間の短縮(特に夜)を要請しているわけです。

ですが、どれだけ飲食店が時短したり、店内にアクリル板を設置したりして感染防止対策をしても、そこを訪れるお客さんたちの行動が変わらなければ何の解決にもなりません。

「マサラキッチン」の店長(三辻忍氏)は、このPOPを掲げる以前も「マスクを着けていない方は入店拒否」「食事中以外はマスク着用必須」「座席制限」「1グループ1会計」など、かなり厳密な感染対策を講じてこられました。

もちろんはじめは嫌がる方も多かったそうですが、来店者のほとんどが趣旨に賛同してくれるようになったそうです。

それでも「会話時はマスク着用」については、ルールを守らない一部の人たちによって、これらの対策が無効にされてしまう不合理さがあったため、今回福岡県にも緊急事態宣言が発出されたのをきっかけとして、「より端的でわかりやすい表現はないか」と考えた末、今回の「黙食」に行き着いたとのことでした。

「食事中に会話を楽しむ」ことがこれまで当たり前とされてきたため、私も含め大多数の人たちは「黙って食事をする」ことに何となく違和感があるのでしょうね。

でも今回改めて知ったことですが、もともと日本には黙って食事をする文化があったそうです。

そして今は、少しでも早くコロナ感染状況を収束されることが急務とされているので、みんなお互いに慣れないもの同士「これは期間限定」と考え方を切り替え、当面は「外食するなら黙って食べる」「会話をしたいなら食事を済ませてからマスクをつけて」を徹底していくことが必要ではないでしょうか。

コロナが収束すれば、いずれまた食事と会話を同時に楽しむことができるようになります。

そのためには、飲食店の努力を無駄にしないよう、客側にも努力が必要になると私は思います。