今日取り上げる話題は、いつもと少し毛色が違います。
コロナ禍の影響で一時は廃業寸前までに追い込まれた老舗手作り線香店が、あるSNSへの投稿がきっかけで、8月の売り上げが一気に7月の約30倍になった、というお話です。
昨日全国のコロナ感染者数は8892人、東京都の感染者数は1242人と、確実に感染はピークアウトの方向に向かっているようですが、19都道府県での緊急事態宣言は再び延長されました。
首都近郊県に住んでいる私は、感染者数が減っても徹底した予防を続けていこうと思っていますが、今回の話題の主である老舗手作り線香店「内田線香店」があるのは島根県安来市です。
島根県はコロナが全国的に問題となった後も、他県と比べると極めて感染者数が少なかった地域。
昨日の感染者数も9人と非常にしっかりと感染対策が成されているな、と思うのですが、コロナの影響は内田線香店にも容赦無く及んでいました。
内田線香店は、安来市で創業100年を超える歴史を持つ手作り線香の店で、現在母娘3人が製造から販売までの全ての工程を切り盛りしています。
こちらのお店で作られている線香は、島根県ふるさと伝統工芸品にもなっている「杉葉線香」といい、香料が使われておらず、火のつきがよくて折れにくいという特長があるそうです。
量産される線香とは違い、杉葉線香は気温・湿度の影響を受けやすく、カビや曲がりが生じやすいなど、作り上げる過程において非常に繊細な注意が必要で、長年培った「職人技」があって初めて形にすることが可能になるもの。
そんな貴重な線香ですが、コロナ禍で取引をしている寺院の参拝者数の減少などが影響し、売り上げは一時ほぼゼロまで落ち込んだそうです。
創業以来の危機を迎え「もうダメかもしれない」と覚悟を決めていた、という内田さん。
ところが、今年8月事情を知った地元ケーブルテレビの関係者が「これは何とかせねば」と、Twitterに杉葉線香の写真を添えて記事を投稿しました。
すると、その書き込みはあっというまに拡散され、たくさんの応援コメントとともに多くの「いいね」がついたそうです。
その結果、これまでは近隣からが主だった注文が、全国各地に広がり、最終的に7月の売り上げの約30倍にまでなったということでした。
個人的には今回のことで内田さんが抱かれたという、次のような思いがとても胸に残りました。
「注文が増えても、買ってくださる方々に良い巡り合わせがくるよう、丁寧に向き合っていきたい」
年月を経ても長く作り継がれているものには、必ずそれなりの理由があるもの。
我が家の小さなお仏壇にも、今度のお彼岸にはこういった昔ながらの丁寧な作業で作られたお線香をお供えしてみたいと強く思ったお話でした。