「スタンド・バイ・ミー」という映画をご覧になったことがあるでしょうか。
1986年に制作公開(日本での公開は1987年)された本作は、スティーヴン・キングの同名タイトル小説を原作にしたアメリカ映画です。
4人の少年たちがある夏に経験した「事件」、その経緯を詩情豊かに描いた「青春映画」の名作として知られています。
そしてこの映画は私にとっても忘れ難い一作なので、この映画を監督したロブ・ライナー氏が亡くなったというニュースにはとてもショックを受けました。
しかもその死因が病気や普通の怪我ではなく「殺人」だったという情報は、その衝撃にさらに拍車をかけることになってしまいました。
今朝ウェブ上で見たニュースでは、「犯人」はライナー氏の30代の息子であったとのこと。
なんと言っていいのか、言葉もありません。
詳しいことはこれから徐々にわかっていくと思いますが、どうやらライナー氏の息子は若い頃から薬物依存を抱えていたそうです。
アメリカの薬物依存は今深刻な社会問題になっていて、今回の事件はそうした世情を色濃く反映したものと言えるかもしれません。
そして、「スタンド・バイ・ミー」の中でもひときわ印象的なキャラクターだったクリス・・・そのクリスを演じたリバー・フェニックスが23歳という若さで亡くなった原因もオーバードースによるものでした。
「スタンド・バイ・ミー」の舞台は、オレゴン州の田舎町。
それぞれあまり裕福とは言えない家庭に暮らす少年4人が、「秘密基地」にたびたび集まっていました。
主人公であり映画の語り部でもあるゴーディは、真面目で知的でおとなしい性格で、物語を作る才能の持ち主。
ゴーディの親友・クリスはグループのリーダー格で、賢くて正義感が強い少年であり、メガネの少年テディは父の影響で軍隊に憧れながらも、その父からDVを受けているという複雑な家庭の子供。
そして太っちょのバーンは、臆病でうっかり者というふうに、それぞれまったく異なる性格を持つ4人ですが、固い友情で結ばれていました。
物語はある日ひょんなことから耳にした、「森の中に列車に撥ねられたまま野晒しになっている死体がある」という噂話を聞いた4人が、「死体を見つければ有名になる。英雄になれる。」という動機から、死体探しの旅に出ることで動き出します。
映画の中で多分最も有名なのは、線路の上を少年たちが歩くシーンでしょう。
後ろ姿で4人が線路の上を歩く姿はパンフレットの表紙にもなっており、ベン・E ・キングが歌う「スタンド・バイ・ミー」とともに、そのシーンを思い出すだけで、涙腺がゆるゆるになってしまう私。
あのシーンを真似して、廃線となった線路の上などを数人で歩いてみた、という人も少なくはないはずです。
映画の最後に流れる、大人となったゴーディのモノローグ「複雑な家庭環境のなかで仲間との友情を感じた12歳の頃のような友達は、二度とできることはない。」という一節が、年齢を重ねた今、ひときわ重く感じられるようになりました。
ロブ・ライナー監督には、本作の他「恋人たちの予感」や「ミザリー」「最高の人生の見つけ方」など、数々の名作があります。
どの作品も、人間の感情の機微をたくみに描き出しており、こんなに素晴らしい作品を創ってきた映画監督の最期がこのような形になったことは、本当に残念です。
どうか安らかにおやすみください。