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ハーブ研究家 ベニシア・スタンリー・スミスさん死去

ベニシア・スタンリー・スミスさんが6月21日に亡くなりました。

享年72歳。

ベニシアさんはイギリスの貴族出身。

1970年代に来日し、京都・大原に居を構え、自ら育てたハーブを日常生活の中に取り入れた「スローライフ」や、四季を彩る見事なガーデニングが多くの人たちの心を惹きつけました。

その暮らしぶりは、NHKの番組「猫のしっぽ カエルの手」で定期的に伝えられ、2013年には「ベニシアさんの四季の庭」という映画も公開されています。

「猫のしっぽ カエルの手」は、ふうっと体の力を抜いて見ることのできる番組でした。

番組内でのナレーションは、ベニシアさんがゆっくりとした英語で担当されており、彼女のその声にも「癒し」の優しい力が溢れているように感じたものです。

そして番組の中では、彼女が自分で育てた庭のハーブをお茶にしたり、ワイルドベリーでジャムを作ったり、セージなどからうがい薬を作ったりする様子を見ることができました。

ベニシアさんは歴としたイギリス貴族階級の生まれで、そのままイギリスに留まっていれば、おそらく私たち日本人からすればまるで「お城のよう」に立派なお屋敷に住み、毎日優雅にアフタヌーンティーを嗜むような暮らしを送っていたことでしょう。

しかし、紆余曲折あり、日本とご縁のあった彼女は日本人男性と結婚し、京都に住まうことになったのです。

京都といえば、日本人も憧れる土地であり、古くからのものが雅な形で多数残されているところ。

そんなとても日本的な土地で、イギリス人のベニシアさんが送った日々は、日本的な感性とイギリス的な感性が不思議なほど自然にミックスされており、自分には本当に憧れでした。

実際、「猫のしっぽ カエルの手」や、ベニシアさんが著した本に影響を受けて、ハーブやガーデニングのことを勉強した、という人たちがとてもたくさんいるという話も聞いています。

近年、お体の具合があまり良くないということは知っていましたが、こんなに早く逝かれてしまうとは。

目を閉じると、あの優しいお声が蘇ってきます。

ベニシアさん、どうぞゆっくりお休みください。