私は昔から絵画を見るのが好きで、ありきたりかもしれませんが特に「印象派」と呼ばれる絵画とその作者には関心を寄せてきました。
また、まるで写真のように細密に描かれた「写実派」の絵画も好きです。
写実派の代表的な画家、クールべの「波」という作品は、実際その場面に自分が居合わせたかのような錯覚さえ感じさせるほどの迫力で、今見ても引き込まれるものがあります。
さて、そういった作品とは全く性質が異なるように見えるのが、いわゆる「抽象画」です。
代表的なのは多分ピカソ(正確にはピカソはキュビズムの代表的画家)だと思いますが、抽象画の画家として有名な作家には彼の他に、パウル・クレーやワシリー・カンディンスキー、そして今日のテーマである、ピエト・モンドリアンの名が上がってくるでしょう。
モンドリアンはピカソのキュビズムをより発展させたと言われる画家で、「モノの形そのものこそが美しい」というコンセプトで、様々な作品を世に送り出しました。
「抽象画」の概念は彼から始まったと言われているそうで、この分野では間違いなく「第一人者」でした。
そんな彼の作品の一つ「ニューヨークシティ」が、何と75年もの間「逆さま」に展示されていたのでは?というニュースが話題を集めています。
この作品は、1941年に制作され、1945年に米ニューヨーク近代美術館(MoMA)で初展示。
1980年からはドイツのデュッセルドルフで展示されているとのことですが、学芸員のズザンネ・マイヤー=ブーシャ氏が今年、モンドリアンに関する新たな企画展のリサーチをしていて、長年の間違いに気づいたのだそうです。
本作品は赤、青、黄色のテープで格子模様が描かれており、ブーシャ氏によれば「格子の線が密になっている部分は、暗い空のように、上にあるべきだ」と指摘。
彼女のこの説には、これを裏付けるような複数の「証拠」が存在しており、どうやら75年間作品が上下逆さまに展示されていたという説は真実味を帯びていそうです。
芸術の秋、このような話題も時には良いかしら?と取り上げてみました。
なお、ブーシャ氏は「いま作品を正しい向きに変えると損傷してしまう恐れがある」とも語り、作品は今後も逆さのまま展示される予定だそう。